はじめに
もともと弊社にはあまりリモートワークが浸透しておらず、
去年までは試みとしてチームで一人だけ週1でリモートにしていました。
新型コロナウイルス感染対策としてチーム全体でリモートワークを始めたため、
記録も兼ねて現在のやり方とメリット、問題点について記載しておこうと思います。
スクラムマスターとして円滑にリモートワークが実施できる環境を整えていきたいので、
アドバイス等あったらぜひコメントいただけると助かります。
どんなチーム?
チームの特徴としてはこんな感じです。
- PO+SM+開発チームで9名
- 開発チームにはプロパーが4名、ビジネスパートナーが3名
- 自社サービス開発
- 2週間1スプリント
- スクラムを始めてから約2年
- 半年以内に参画したメンバーはいない
- MGRはスクラムやリモートワークへの理解がある
リモートワークのやり方
部署としてリモートワークが推奨となったのは2月末のことでした。
そもそもオリンピック・パラリンピック期間に向けてリモートワークを試してみたいと考えていたので、
MGRとも相談してリハーサルを兼ねてやってみようか、と決定しました。
(結果的にオリパラは延期になり、
リハーサルを兼ねて〜なんて気楽なことを言っていられない状況になってしまいましたが…)
- 基本コミュニケーションツールはSlack
- デイリースクラムなどのMTGはzoomで行う
- 会社からのファシリティ提供はなし
- PCとアダプタに加え、必要であれば検証用端末(スマートフォン)の持ち帰りが可能
- 事情(デスクトップPCが使いたい、持ち帰らなかった端末を使いたい等)
Twitterで「社員はリモートワーク、協力会社は出勤」と嘆いている方を見受けましたが、
弊社は特に規制はなく「1つのスクラムチーム」としてビジネスパートナーの方にも同様にリモートワークをお願いしました。
協力会社には、ビジネスパートナーの方から連絡をしていただきました。
※非常時なので容認されたという説も濃厚ですが…
リモートワークを開始してみて
通勤時間の長短に関わらず通勤がないのはストレスフリー!とか
社内だと避けられない周囲の雑音がないのは集中できる!とか
朝ギリギリまで寝ていられる!とか
リモートワークに対して肯定的な意見がたくさん出てきました。
特にメリットとして上がったのは、 集中できる でした。
今まではそれが普通だったので特に気にしていないことも多かったのですが、
やはり周りの話し声ってしっかり耳に入ってきて、集中力を削ぐのですね…。
次に上がったのが 通勤がないのは楽 !
チームメンバーの半数は1時間以上かけて通勤していたので、
その時間がなくなるのは純粋に時間の節約になりますし、
通勤電車は時間の長短に関わらずストレスですもんね。
普段多少気をつければ混む電車に乗らずに済む私ですら、
このストレスフリーさを感じることはできました。
ちなみに初めて試したzoomは、画面共有の解像度で困ることはなく、
遅延もそこまで気にならず、通常通りの打ち合わせができていました。
しかし、次第に問題点も。
上がってきた問題点と解決策
1. 相手の顔が見えないと話がしづらい
オンライン会議中、発言者以外はこまめにミュートにするよう心がけると、
雑音が入らず発言者の話に集中できます。
その一方で、対面の会議だとかんたんにできる相槌が伝わらず、
傾聴の姿勢が分かりづらいという問題点がありました。
これは発言者としては非常に話しづらい…。
ということで、カメラ機能をON にすることにしました。
自分の部屋が見えてしまうため嫌な人もいるのでは?と思い最初はOFFにしていたのですが、
案外すんなり受け入れてもらえ、現在ではONが定着しています。
私生活が垣間見えるため発足直後のチームはでの導入は検討したほうがいいでしょうが、
表情が見えるだけでだいぶ発言がしやすくなったという声も上がっています。
(ただし親御さんやお子さんが乱入してしまうという事故が発生するため、
同居人がいる方は「テレビ会議中」という紙を部屋の扉に貼っておくことをおすすめします。
こういうハプニングも面白いですけどね。笑)
2. メンバーがタスクで詰まっているが分かりづらい
オフィスであれば「あー」とか「うーん」とか独り言でわかることですが、
リモートだと当然ながら把握することができません。
「あれ、この人これで困ってたの?相談してくれれば、解決方法教えられたのに!」では非常に非効率です。
スプリントレトロスペクティブでこの問題について話し合った結果、
今までよりも意識してSlackでの相談のハードルを下げよう!と決めたことで、
ある程度解消できるようになりました。
3. スプリントバックログの全体の状況が把握しづらい
もともとチームではホワイトボードをスプリントバックログとして使っていました。
今回リモートワークに切り替えるにあたってそれをGoogle Spread Sheetで電子化したのですが、
ホワイトボードでは全体が見渡せていたのに対し電子版では1画面に全体が収まりきらず、
全体のステータスを把握しづらくなってしまいました。
対策として、デイリースクラムで 定期的に全体を見渡してスクロールする ことにしています。
それでもやっぱり視覚的に進捗を実感できるのは物理のホワイトボードの方なので、
長く続くようであれば、別のツールを使うよう検討しなければと思います。
きちんとバーンダウンチャートを表示できるようなツールがいいかもしれませんね。
※一度過去に検討したことがあるのですが、
プロダクトバックログアイテムごとのスプリントバックログのチケットをわかりやすく表示できるツールが見つからず、
結果的にホワイトボードで管理することになりました。
4. さみしい
もともと結構仲の良いチームなのでコミュニケーションに大きな問題はないのですが、
今まで仕事の合間にしていたちょっとした雑談がなくなってしまって寂しいという意見がありました。
集中できるという意味ではメリットにもなるのですが、
もし「一人で仕事をしている」ように感じるのであれば対策を取りたいと考えました。
現状は「週1では会社に集まろう!」としていますが、
情勢が芳しくないのでこれは取りやめとなるかもしれません。
解決できていない問題点
今まで上げてきた問題点はある程度解決ができていますが、
未だ解決できていない問題がいくつかあります。
1. 会社のネットワーク環境が貧弱で、声が聞き取りづらい
IT企業でこの状態は情けないのですが、
有線LANを繋いでも声が聞き取りづらいことがあります…。
そのため、全員がリモート−ワークのほうが数人が出社するより円滑にミーティングができる状態です。
チームだけではなんともできないので、この点については一旦置きにしています。
2. 自宅の環境が整っている人とそうでない人がいる
実は私も「整っていない人」のうちの一人で、自宅のネットワーク環境がポケットWi-Fiのみです。
また、家にデスクがない人やディスプレイがない人もいます。
会社からファシリティの提供がないので、
リモートワークは(現状では)やりたくてもやりづらい、できない人もいそうです。
ちなみに私はポケットWi-fiでもなんとか仕事できていますが、
npm install
はしたくないですね…。
ちなみに、zoomの通信量は 1時間で200〜300MB程度 らしいです。
3. 他部署や全体会議への出席、検証端末利用のため出社せざるを得ないことも多い
まだリモートワークに踏み切っていないチームや部署が多いのもあり、
リモートワークに慣れていない他チームとの打ち合わせのため出社することがしばしばあります。
※この場合リモートワークができないわけではなく、
「やりづらい」「出社したほうが何かと楽」 と感じてしまうという程度です。
また扱っているプロダクトの都合上、スマートフォンやタブレット端末が必要になります。
もちろん持ち帰りは許可しているのですが、
全員が全種類の端末を持ち帰れる程は充実していないため、
必然的に「あの端末が使いたいから出社しよう」となります。
会議に関してはやろうと思えばリモート実施も可能なので問題視していませんが、
検証端末の問題については現状解決策がなく困っています。
ただ、全員ですべての端末を持ち帰ればある程度解消できるかもしれません。
※とはいえごくまれに他チームの機材を使いたいことがあり、
そういった場合にどうすれば良いのかはわかっていません…。
まだ試せていないこと
スクラムイベントの中で、スプリントプランニングだけまだリモートで実施できるか試せていません。
スプリントプランニングはリモートでも実施可能だと考えているのですが、
実施してみると新しい課題が浮き彫りになるかもしれません。
おわりに
現状のうちのチームの状態は、
「短期間の任意のリモートワークは問題なくできる。しかし長期間のフルリモートは耐えられない。」 です。
日本で新型コロナウイルスの感染が拡大してきており、
東京に本社のある弊社も長期間のフルリモートとなる可能性が増してきました。
改めていま課題を書き出してみて、課題がまだ多く残存していることを把握し、
私の力の及ぶ範囲でリモートワークの運用について工夫していかなければと強く思いました。