はじめに
先日、リクルートマネジメントソリューションズによる心理的安全性に関する調査結果が掲載されました。
news.careerconnection.jp
私は会社で現在リーダー(スクラムマスターやプロダクトのオーナーと言ってもいいですが)を担っており、
特に意識しているのがこの 心理的安全性 だったので、興味深く読みました。
すると、そもそも「心理的安全性」という単語の認知度が低い。
「チームの『心理的安全性』という言葉を知っていますか」という質問に対して、「内容の詳細までよく知っている」と答えた人は6.0%、「だいたいの意味を知っている」と答えた人は19.6%で、併せて25.6%に留まった。
1/4の人はそもそも心理的安全性について殆ど知らない状態だったのです。
とはいえ私も「内容の詳細までよく知っている」とまで答えられるのかと言われると…
たしかにちょっと自信がないことに気づきました。
ということで、あらためて「心理的安全性」について調べてみました。
心理的安全性とは
一言で言うと、 チームの中で気兼ねなく発言ができること を言います。
Googleがアリストテレスというプロジェクトで、
「成功するチームを作るために最も大切なもの」として定義したのが始まりです。
英語ではそのまま「Psychological safety」といい、「心理的安全性」はそれを和訳したものになります。
Googleは心理的安全性以外にも成功するチームを作るための鍵を挙げていますが、
その中で最も大切でその他の根底にあるのが心理的安全性であるとしています。
- 信頼性(Dependability)
- 構造と明確性(Structure & clarity)
- 仕事の意味(Meaning of work)
- 仕事の影響力(Impact of work)
心理的安全性が確保されて初めて上記が力を発揮する、といっても過言ではないと思います。
心理的安全性が確保されない状態とは
心理的安全性が確保されていない状態とは、
「ちょっとこの仕様がおかしいと思うけれど、怒られそうだから言われたとおりに作ろう…」
「新サービスのいい企画が浮かんだけど、バカにされそうだから発言しないでおこう…」
そう言って、自分の考えを表明できないような状態のことです。
こういった状態では上の人、もしくは声の大きい人によってのみチームが動かされ、
その他の人はただそれに何も異議を唱えず従っていくだけになります。
そうすると、チーム内で改善する作用が働かなくなります。
また、そういうチームは往々にして受け身だけの、
ただ声の大きな人の指示を聞いて作業するだけのチームになります。
そんなチームでやりがいを感じられるでしょうか?
そんなチームでずっと働いていたいと思えますか?
心理的安全性が確保されている状態とは
では逆に、どのような状態だったら心理的安全性は確保されているといえるのでしょうか?
たとえば
「××というように支持を受けたけれど、自分で考えてみたら○○のほうが効率が良さそうだ。
○○で作業しても問題ないかどうか、リーダーに確認してみよう!」
「××さんには大変お世話になっているし、尊敬もしているけれど、△△と言われるのがしんどい。
今後もこのプロジェクトで働いていきたいから、少し相談してみよう」
このように、肯定的な内容であれ否定的な内容であれ、
自分の意見をきちんと表明できるような状態が「心理的安全性が確保されている」と言えます。
特に否定的な内容を人に伝えるときにはその伝え方、言葉の選び方に気をつける必要はありますし、
その目的は他人を否定したり叱咤したり萎縮させたりするためではあってはなりません。
どうすればプロジェクト内の心理的安全性が確保できるのか?
では、心理的安全性を確保するためには具体的にどのようにすればよいのでしょうか。
私は、主にリーダーやマネージャーが下記のような取り組みや意識改革を行うことが必要であると考えています。
- 各メンバーの意見を否定せずに聞く機会を(できれば定期的に)設ける
- 他のメンバーの前で、あるメンバーから出された意見を頭ごなしに否定しない
- リーダーやマネージャーは自らが常に正しいと思わない
- メンバーから声をかけられたときに声のトーンを高くする(不機嫌に答えない)
簡単に言うと、
「たとえ些細なことであったとしても、それを言い出しやすい存在でいる」ことが大切です。
終わりに
そんなに人と話す(時間的な・精神的な)余裕がないという方もいるかもしれません。
雑談ばかりになってしまったらどうしよう、そんな懸念もわかります。
でも、その会話が自分にとってメリットをもたらすものだったら?
周りの人がもたらしてくれる、現状打開や改善のヒントを活用できないのはもったいありません。
もし声をかけられて、雑談だと思ったなら「またあとで聞かせてね」といえばいいのです。
ITに限らず、プロジェクトやチームに関わるのであれば、
ぜひこの「心理的安全性」に対してもっと配慮してみてほしいと思います。