はじめに

スクラム開発を学ぶ上で読むべき本の1冊として有名なカイゼン・ジャーニー。
IT企業で働く主人公が一人で、チームで、そしてお客様と、
一緒になってチームを変えていくフィクションの物語です。
フィクションの物語ではあるのですが、
筆者の実際の経験やスクラム開発手法の解説もあり、
導入のしやすさと内容の濃さとでスクラム開発初学者にとって非常に読みやすい本です。

そんな「カイゼン・ジャーニー」の著者による講演や、
石井食品という歴史のある食品会社でどうやってカイゼンを始めたのか?というお話が聞けるということで、
「石井食品 ☓ カイゼン・ジャーニー / 食品メーカーでカイゼン・ジャーニーをはじめるまで」というイベントに行ってみることにしました。

ちなみにこのイベントは、TECH PLAYで発見しました。4/21(土)に開催されたものです。

講演が始まるまで

石井食品の本社1階にある、Viridianというスペースが会場でした。


ちょっとしたセミナーやパーティができるようなスペースでした。
また、石井食品の商品の直売所が併設されています。

入ると、予約時の名前を聞かれ、懇親会での飲み物を注文することができました。
(もちろん、「なし」も可能)
ビールは500円、ソフトドリンクは200円でした。
お昼だったのでビールはやめてリンゴジュースにしておきました。笑

開始直前にはほぼ満員という感じでしたが、
女性は合計で4人だったと思います。
食品業界におけるカイゼンがテーマだったためIT業界でない人もたくさんいましたが、
やはりこういった場は、女性が少ないのでしょうか…。
(私以外の3人の方は、ベテランという感じでした;)

講演

「カイゼン・ジャーニー/たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで」

「カイゼン・ジャーニーインセプションデッキ」

最初は、「カイゼン・ジャーニー」の著者二人による講演です。
お二人とも「カイゼン・ジャーニー」Tシャツを着ていらっしゃいました。笑

講演は、slidoを使って進められました。
slidoとは、講演中に意見や質問をTwitterのようなUIで簡単に共有・投稿できる仕組みです。
匿名でのコメントが可能なのも気楽でいいです。


読み方が不明ですが、「スリドー」と読むようです。

まず著者の一人、市谷さんからは、
インセプションデッキを使ったカイゼン・ジャーニーという本の紹介でした。
インセプションデッキはプロジェクトの全体像を捉えチームで目的や目線を合わせるために作るもので、
下記の10個の問いに対する答えで構成されます。

  1. われわれはなぜここにいるのか
  2. エレベーターピッチを作る
  3. パッケージデザインを作る
  4. やらないことリストを作る
  5. 「ご近所さん」を探せ
  6. 解決案を描く
  7. 夜も眠れなくなるような問題は何だろう
  8. 期間を見極める
  9. 何を諦めるのかをはっきりさせる
  10. 何がどれだけ必要なのか

これにそって、話が進められていきました。
著者の一人が心を病んで?ギブアップしてしまったとか、
解決案として(時間がないから)寝ないとか、
なかなかブラックな背景もありつつ書き進められた本だったようです。

個人的には、何度も推敲を重ねて本を書き上げたことを
「ざらざら」を「つるつる」にすると言っていたことが印象的でした。

「カイゼンジャーニーの元の話」

次はもうひとりの著者、新井さんからのお話。
ヴァル研究所の開発部長で、駅すぱあと(Yahoo乗換案内の中身)に携わっていらっしゃるそうです。

この方は、ぼっち(一人)からいろいろなカイゼンをはじめていった
そのやり方についてお話してくださいました。
ポストイットとホワイトボードで見える化していった結果、
開発以外の総務や販売促進部門でもスクラムの進め方が定着していったそうです。

このあたりのお話はすごく驚いて、
開発が見える化したことで他の部門の人のカイゼンへのハードルも低くなっていったのかなと思いました。

ちょっとだけ勇気を持って、あたりまえのことをあたりまえにやっていく。
その積み重ねで、一人でもカイゼンができたとおっしゃっていました。
一生懸命というのはとってもエネルギーを要することですし、
クールで格好いい、とは少し違って恥ずかしく思う人もいるかもしれません。
(かくいう私もそう思うこともあります…)
が、そういう熱意を持って初めて何かが変えられるのであって、
変えたいという気持ちが少しでもあるなら一生懸命にならなきゃな、と思わせてくれました。

あとは、「越権ですよね?」と言われたときに
「そうだね」と華麗にスルーする力も合わせて必要なのだなと。笑

「石井食品でたった一人の情シスがはじめたジャーニー」

次は石井食品の情報システム部の高原さんからのお話です。

この方のお話はエンジニア的には非常に面白かったです笑
2011年の時点でWindowsXP(社内では最新)のメモリ256MBのPCを与えられて、
3ヶ月で販売管理システムのリニューアルを求められたそう。
しかもメンバーは一人。

そんな中で、一人だからこそ与えられた裁量や自由さを武器に、
そもどもネット環境やらシステムの状況やらが全くわかっていない状況を、
少しずつ解き明かしていったそうです。

「たった一人」と言われるととてもネガティブな印象を受けたりもしますが、
「一人だからこそ動きやすい」というのはとてもポジティブでいいなと思いました。
そしてもちろん、一人より、味方をつけられたほうがもっと動ける幅が広くなるわけですが。

「石井食品ではじまったカイゼン・ジャーニー」 (石井智康さん)

そして最後が石井食品創業者の孫である石井さんからのお話。

「楽しいエンジニアリング」
この言葉に一番感銘を受けました。
まさに私の願いである「楽しく開発したい」という思い。
(今回、チームでもスクラム開発を始めたのですが、それにはこういった意味がありました…)
楽しく開発したいというのは、意味あるプロダクトをいいチームで作りたいということ。
すなわち、プロダクトに関してもチームに関しても良い状態を作り上げること。

良いプロダクト、良いチームを作るのに立ちはだかる障壁には
スクラムの諸々の手法が役立つとのことで、

たとえば

  • 開発がなかなか進まない→タイムボックス
  • 仕様がなかなか決まらない→ユーザストーリー
  • ギスギスしている→インセプションデッキ・振り返り
  • なんだかうまくいってない→ピンポンゲーム

とか。

そしてスクラムマスターとして必要なのは、
「いろいろなスキルを知っていても、チームの人が気づいてから伝える」ということ。
時間はかかるけど、チームの中から出てきてこそ初めて実感を持ってできるのだと思います。

QAタイム

一通り講演が終わったあとはQAタイムでした。

  • 振り返りのファシリテーションは自分でやらない!
  • ひとりでもいいが、巻き込む工夫が大切
  • やんなきゃいけないという思いから動き始めた
  • KPTのPの代わりになる、もやもやボードを作ってもいいかも
  • 手法はさておき、効果が実感出来ることが大切。楽しいのが嫌な人は本質的にはいないはず。

懇親会

懇親会は、石井食品さんのミートボールをいただきつつ。
残念ながら私はあまり交流できなかったのですが()、
やはり自分の職場、チームにたいして何らかのカイゼンをしたいという方々が集っているようでした。
そして久々のミートボールも美味しかったです。笑

おわりに

私が今回参加した目的は
「IT企業でスクラム開発を始める際の心構えを知りたい」だったのですが、
著者や実際にカイゼンを行った方々のお話を聞き、
どういう気持ちでカイゼンを進めていけばいいのかがわかったように感じました。
細かい手法の説明は殆どなかったのですがそれは本を読めば十分という気がしますし、
何より「チーム自身が改善できる素地を作る」という大切なことが学べたのは良かったと思いました。

イベントで使用されたスライドは下記に載っていましたので、ぜひご覧ください。

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